転職活動を進めていく上で、求職者が気になるのは「ブランク期間があると採用面接で落とされるのではないか?」というものだ。転職活動期間(失業期間)が数か月、ことによると1年以上空いていると、企業側に悪印象を持たれ、不採用通知を突きつけられるとおびえ、不眠症に陥っている転職パーソンも多いだろう。しかし、それは杞憂だ。私の職務経歴は歯抜けのオンパレードだ。それでも職業を獲得し続けてきた。経験談を話していこう。
ブランク期間がマイナスに評価されることはない
ブランク期間とは、すなわち失業期間のことである。社会に出て、1つの会社に在籍し続けているのならばブランク期間はゼロだ。前職から次の職へ、途切れなく転職する場合も、ブランク期間はない。
一方、会社を辞めて、転職活動をしていたり、ふらふらしていたり、留学していたりしている場合、その期間はブランク期間とされる。
企業はブランク期間のある求職者をネガティブに評価する、という俗説がある。
曰く、「転職活動がうまくいかなかった無能なのではないか?」「計画性がない脳タリンなのではないか?」「勤労意欲が激烈に低い抜け作なのではないか?」と採用担当者が評価するというものである。
これはもちろん嘘である。そんな些事にいちいち気を取られている採用担当者がいたらそれこそ無能であり、無価値な企業である。
転職先が決まらなかったのはえり好みしていただけという場合もあるし、すこし休養したり、勉学に励んでいたり、親の介護をしたりしている場合もある。スクールに通って資格取得にチャレンジしていたケースもあるだろうし、大学に入り直して専門分野を学んでいた人もいるだろう。
仕事を辞めてフリーランスとして働いていたり、起業していたりした人もいるはずだ。履歴書上は、会社に所属していないので、「ブランク期間」となるが、実態を見れば、極めて勤勉かつ向学心にあふれ、人によっては家族思いのナイスパーソンということができる。
一概に、ブランクを悪ととらえることはできない。要するに、面接官に対していかに懇切丁寧に説明し、納得感を持ってもらうかだ。
ブランク期間がマイナスに評価されそうならば裏技を使え
一方で、ブランク期間がマイナスに評価される場合もあるにはある。例えば、ブランク期間が10年以上空いている、転職回数が多すぎて、かつ前後にいつも1年ぐらいブランクが空いているなどのケースで、正当な理由を説明しづらい場合などだ。
こうしたケースでは、労働者としての資質が疑われる場合もある。
もちろん、本質的なことをいえば、10年も自由気ままに生きていけるマインドは真に賞賛されるものだし、毎回1年ぐらいブランクを設けながらも生きている人は、ワーク・ライフ・バランスが激烈に高いという意味で先進的な人材と評価されてもいいはずだ。
しかし残念ながら凡庸な企業の凡庸な採用担当者に次世代の生き方や哲学は理解されない。企業は多様性を重視しているようだが、実際にユニークな考え方を持つ人材が面接に来たり、求人にエントリーしてきたら、異物として排除するのが悲しいかな現実である。
これに対処するには、履歴書の書き換えしかない。ブランクがあるのならば前後の会社にくっつけてしまえばよい。仮にA社で2年就業、ブランクが1年、B社に1年就業、その後またブランクが半年といった職歴で、次の会社に応募する段になったら、A社に3年、B社に1年、ブランク半年といったぐあいに、脚色するのがベストだろう。つまり最初のブランク1年を前の会社に合体させる手法だ
ここで注意したいのは、やはり前職を偽るのはリスクがあるという点だ。
B社の在籍年数は1年で不動、その後のブランクも半年というのは正直に伝えるべきだ。その代わり最初のブランクは消し去れる。そこからはいかにして現在半年間も転職活動に費やしているのかを、面白おかしく伝える話術なり、履歴書作成時の作文スキルが問われる。
半年間のうち、最初の3ヵ月程度は通ってもいないスクールに通ったことにしてもいいし、世界中を旅したということにしてもいい。小説家になるために自宅にこもっていたということにしてもいいだろう。YouTuberになるために努力したことにすれば、動画編集や企画力を有する人材と、曲解されるメリットも享受できるかもしれない。
つまり、ブランクなど恐れるなということだ。過去のブランクは綺麗に均すなり、間引くなりしろということだ。
履歴に手を加えるのはありなのか?「試用期間」は消し去ってもいいのか問題
昔26歳ぐらいのときに横浜のハローワークに通っていたときに、スタッフに相談したことがある。
「自分は何度も転職しているが、試用期間で辞めた会社は入れなくてもいいのか? またその場合ブランク期間はかってに埋めてしまってもいいのか?」
若い男性スタッフは、少しだけ躊躇しつつも、そのあと自信たっぷりにこう言った。
「いいよ〜ん!」
これが答えである。それ以上でもそれ以下でもない。
結局のところ、程度問題である。数か月の調整などは誤差の問題である。
もちろん、学歴や犯歴の詐称は問題だ。勤めていない会社の就業実績を偽るのも問題だ。スキルや資格・免許で虚偽報告するのもNGだ。
しかし試用期間で辞めた会社や1ヵ月しか在籍しなかった会社を葬り去るのは、「大人のたしなみ」だ。
例えば、飲み会などで皆が酒に酔っているときに聞いてみるといい。
「履歴書に偽りはないですか?」と。
おそらく、おっちょこちょいの酔っ払いが、前後不覚になりながら本当のことを言ってしまうだろう。もちろんその人は後日、ひどく後悔することになるだろうが……。
しかしそれがリアルである。私の肌感覚でいえば、30代の男性社員で複数回転職している人、さらに中小零細企業に勤めている人の半数以上は、履歴書を創作している。だから、あなたも……。
まとめ
ブランク期間など、恐れるに足りない。その期間に何か有意義なことをしていた、もしくはのっぴきならない事情によりブランクが生じたということをしっかりと説明すれば良い。もしくはそういうことにして、面接時に物語を話せばよい。
それさえも難しければ、書類上は過去を変えればいい。ブランクなど、なかったのだと。
もしかしたら、自分にはブランク期間があったとする記憶は、思い違いかもしれない可能性も否定できない説もまことしやかに囁かれているというパラレル世界に私たちは生きてるのかもしれないということもあり得るのでは?