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履歴書は手書きなのかパソコンで書くのがいいのか

世界中の多くの求職者が、いま、履歴書を書けずに悩みもがき、絶望に打ちひしがれている。転職者は、Web転職サービスの書類選考を通ったら、履歴書・職務経歴書などの必要書類を企業に送付する。そのときに、履歴書を書けずに中途で挫折してしまう人も多い。その理由の一つが「履歴書を手書きで書くのが面倒だ」というものだ。手書きが面倒くさすぎて、作成せずに提出期限を迎えて、引き続き無職となる。これは求職者にとっても企業にとっても不幸である。ひいては日本経済の停滞も招き、世界恐慌、地球滅亡までつながる事態に陥らないとも限らない。解決策はないのだろうか?

履歴書はパソコンで書いてもいいのか、手書きがマストなのか

私がはじめて就職活動をしたのは、17年前のことだ。そのとき私は学生だった。就職支援サイトで企業にエントリーし、パスしたら履歴書を送るというのが通常の選考ステップだった。

その後、社会に出て何度か転職を経験した。中途採用試験においても、一次選考を通過したら、履歴書・職務経歴書を送るのが常道だ。

そのときに問題になるのが、履歴書などをパソコンで作成するか、手書きで作るかである。

現在のビジネスシーンにおいて、ホワイトカラーの業務のほぼすべてはパソコンを使って行われている。営業、マーケ、人事、経営戦略など部署を問わず、仕事をする上でパソコンは必須だ。また、工場、小売店などいっけんデジタルデバイスを使わなそうな職場でも、簡単なパソコン作業を求められることもある。

これだけ業務とパソコンが密接な関係にあるのだから、求職者が資料(履歴書など)をパソコンで作成したからといって、それがマイナスになることなどない。もちろん、手書きで書いても何ら問題ない。

パソコンで書いた方が良いケース

ただし、字が汚い人は、履歴書などをパソコンで作成した方が良いだろう。なぜなら、悪筆は人を不愉快にさせるからである。

私は字が汚い。さすがに面接官に字の汚さを指摘されたことはないが、仕事中に上司や同僚に指摘されたり、怒られたり、嘲笑されたり、といったことは今までに20回ぐらい経験した。

だから、面接官が直接指摘しないからといって、汚い字で書かれた履歴書が許されているというわけではないことには留意しておきたい。

面接官は

「こいつ、職歴も学歴も最高だけど、字が汚えな」

「この子、容姿端麗、頭脳明晰なのに、字が汚えな」

「この人、エジソン級のクリエイティビティを有してるけど、字が汚えな」

と内心で思われている可能性もある。

むろん、多くの場合では、字が汚いから即不採用ということにはならない。しかし印象は悪い。最後につめの先ほどの差で、不採用になる可能性はゼロではない。

手書きで書いたほうが良いケース

手書きで書いたほうが良いケースというのは、別段ない。しかし、先方が手書きを指定してくる場合はある。

特に事務職など、実務において手書きで文字を書くケースが多い職務においては、字の汚さは致命傷になる。悪筆は人を不愉快にさせるというのは前述した。

取引先や関係各所への封書などに記載された文字が、小学生のような文字だと、企業の信用に関わる。だからあらかじめ求職者の文字について、チェックするということもないではない。とはいえそんなケースはまれだ。

手書きを指定する企業は旧態依然としている組織に違いない。そんな企業はこちらから辞退するぐらいの意気込みで、転職活動をするのもパンクっぽくていいだろう。

パソコンで作成する方がメリットが多い

私はある時期から企業への提出物はすべてパソコンで作成している。字の汚さが理由の一つだが、他にもある。履歴書をパソコンで作成するメリットは次の通りだ。

  • 作成する手間がかからない
  • 間違えてもすぐに修正できる
  • どの履歴書・職務経歴書を提出したかわかる
  • パソコンの基本スキルをアピールできる

これらのうち、私は三番目の「どの履歴書・職務経歴書を提出したかわかる」が大事だと思う。

と言うのも、転職を繰り返している人はわかると思うが、ある種のジョブホッパーは、時々、履歴書や職務経歴書に独自の解釈を加える。削ったり、追加したり、間引いたりといった、芸術家さながらの血のにじむような努力をする。

結果、自分の本当の職歴が判然としなくなる。そうなると、「企業に送った経歴」と「自分が拵えた経歴」と「本当の経歴」がごちゃまぜになる。

もし、書類選考に通過して、面接に臨んだとき、面接官の手元にある経歴と、その場で自己紹介したときの経歴に齟齬があったら……。地獄の面接の始まりである。

このような悲劇を起こさないためにも、先方に送った履歴書などの書類は手元にコピーを残すか、最初からデジタルデータで作成し、しっかりと管理しておくのが良いだろう。

手書き・パソコン論争に終止符を打つ

時々、「手書きで作成した履歴書からは熱意が感じられる」「丁寧さが伝わる」「育ちの良さがにじみ出ている」「書道2段みたいで、なんか好き」など、手書き派のプロパガンダのような言説を見聞きすることがある。

しかしこれは嘘である。

企業の人事担当者は、毎日数多くの書類を見ているのである。それはなにも求職者からの書類のことだけをいっているのではない。日常業務におけるすべてのテキストのことである。だから、「読みづらい」「読む気がしない」文字は、そもそも読まれないのである。斜め読みか、読み飛ばしの対象である。視認性・可読性こそが正義である。

履歴書などの書類は、パソコンで作るべきである。

手書きのリスクを犯すぐらいならば、パソコンで作るべきだ。

「このフォント気に入らないな」とか、「この行間、狭すぎる!」などいちゃもんをつける人などいない。仮に、そのような意見を持つ人事担当者がいたとしたら、そんな人のいる会社で働くのはこちらから願い下げだ。同様に、手書きに熱意を感じたがる人事担当者も危険人物である。

パソコンを所持していない、パソコンを使えない人は仕方ない。そういう人もいるだろう。しかし、そうでないのならば、すべての書類は、デバイスを使って書かれるべきである。