私は3年前にフリーランスになった。36歳のときだった。以来、自営業者としてほそぼそと食いつないでいる。高給取りとはいかないまでも、平凡に暮らすことはできている。一方で、時々、ふいにフリーランスという職業に不安を感じる。現在フリーランスとして働いている同胞へ、また独立を画策している会社員諸氏に向けて、フリーランスを辞めたくなる瞬間についてお伝えしたい。
フリーランスでの暮らしぶりとは?年収やメリット
フリーランスになって3年が過ぎた。その間の年収はおおむね次の通りだ。
- 1年目 200万円(半年)
- 2年目 500万円
- 3年目 400万円
- 4年目 350万円(見込み)
39歳の既婚者として、この金額は少ないように感じるかもしれない。しかし、普通に生活する分には何ら問題ない。妻も働いているし、家計でかかる費用は折半だ。
世の中のフリーランサーがどの程度稼いでいるかはわからない。しかし私のようなエセ編集者で、400万円前後の年収があれば良い方であろう、と私は自分を納得させている。
フリーランスにはメリットが多い。例えば以下のような利点がある。
<フリーランスのメリット>
- 煩わしい人間関係がない
- 自由な時間に働ける
- 平日に遊びに行ける
- 就業中に飲酒できる
- 日中に中抜けできる
- 会社の規則や規律、不文律に苛つかされない
- 就業中に筋トレできる
- 優秀で勤勉なら高給取りになれる
- 通勤しなくて済む
- 痴漢えん罪リスクが軽減する
- 就業中にフォートナイトができる
この中で特に大きいのが、面倒な人間関係からの解放であろう。
特に私はどちらかと言えば繊細だ。会社員時代は、社内の電話が鳴っているのに誰も取らないと苛ついたものだ。社内の暗黙のルール上、若者が電話の応対をするものだが、若者というのは電話が嫌いな人種だ。だから取らない。結果、中堅かベテランが取る。「電話を取ったら負けゲーム」である。
しかしこれにしても、若者衆からしたら、迷惑な話だ。なぜ新米だからと言って電話に出なくてはならない? そういった不文律が会社員にストレスを与える。くだらないルールがすべての会社員の精神をむしばみ、損なう。
また、私などのような繊細ボーイ(当時)は、週末に散髪などしようものなら、月曜日が憂鬱でたまらないものだった。なぜなら、月曜に出勤すると、「あれ、髪切った?」などと言われるのがいやだからだ。「似合ってるね」などと言われたら、それだけで照れてしまう。それもストレスだ。
電話にしても散髪にしても極めて些末な出来事だ。他にも上司に恫喝される、同僚に足を引っ張られる、同僚の足をひっぱる、などストレス原因は星の数ほどある。
フリーランスならばそれらから解放される。
フリーランスを辞めたくなる瞬間とは?
しかし、そんなハッピーなフリーランス生活も始終安泰というわけではない。と言うか、独立すると、ふと瞬間に不安に襲われ、泣き出してしまうときがある。私もこの3年、泣きながら仕事をしたり、泣きながらフォートナイトをした回数は数え切れない。今も泣きながらブログを書いている。
フリーランスを辞めたいと思う瞬間18選
フリーランスが不安に襲われて、辞めたい、就職しようかなと思う瞬間は下記の通りだ。
<フリーランスを辞めたくなる瞬間>
- 収入が下がった
- 仕事がなくなった
- 長時間労働、休みがないとき
- 仕事が死ぬほどつまらない
- 社会的なつながりが希薄
- 金曜の夜に楽しそうに同僚と飲み歩く会社員たちを見かけたとき
- ボーナスがない
- クライアントが無理難題を言ってきたとき
- 義父母や義家族、家族に薄給と思われてるんだろうなと気づいたとき
- 子どもができたとき
- 運動不足を痛感したとき
- 座りっぱなしで慢性前立腺炎になったとき
- ホームセンターの駐車場で車内で惰眠をむさぼるサボリーマンをみかけたとき
- テレワーク中にYouTubeを見ている妻を見かけたとき
- テレワーク中に「サボり倒してるよ?」と妻や友人が言っていたとき(なお給料は発生している)
- カフェで2時間ぐらい息抜きしまくっている勤め人を見かけたとき
- 夜寝る前に、芥川龍之介よろしく、「ぼんやりとした不安」に襲われたとき
- 会社員に比べて社会保障が貧弱で、将来苦労すること必至と気づいたとき
このように、フリーランスになると、死ぬほど不安になる要素がたくさんある。メリットよりもデメリットというか、不安要素が多い。
特に私のケースで言えば、下記の点が特にきつく感じた。
フリーランスを辞めたい理由1:子どもができた
妻は妊婦だ。家族が増える。フリーランスにとって、これほど将来を考えさせるイベントはないだろう。この不安定な収入で、家族を養っていけるのか。もちろん、妻には期待している。産休や育休はあるが、それが終わったら頑張って働いていただきたい。共働き全盛時代。お互い頑張りましょう。
しかし、私も頑張らなくてはならない。少なくとも年収500万円ぐらいは確保したい。となると、今以上に勤労に励まなくてはならない。常駐フリーランスになって、安定的な月収を獲得するのも手だ。あるいは、新規案件をとって、今以上に高単価の仕事で収入アップを目指すのもよい。
最悪、再就職も視野に入れている。視野に入れていると言うか、もうアクション起こしちゃう。リクナビNEXT、リクナビエージェント、マイナビ転職などを活用したい。
自分には会社員はストレスばかりで、向いていない。それはわかっているが背に腹はかえられない。地獄に落ちる日も近いかもしれない。
フリーランスを辞めたい理由2:花金のサラリーマンを見た
金曜日の夕方、4時頃に、中華料理店に入店する3人のスーツ姿の男を見たことがある。おそらく客先から直帰するという連絡を会社に入れた勤め人だろう。終業時間はもう少し先のはずだ。でも、そんなことは関係ない。
なぜなら今日は花金だから。金曜日の夜の直帰は勤め人の特権だ。一仕事終えて、薄暮に町中華に吸い込まれる男性。笑い声がいつもより大きいはずだ。
ストレスから解放され、後は飲酒で天国に直行。お互いを労いあうのも良いだろう。同僚の悪口を言うのも良いだろう。品性はないが、社内の美人社員を品定めするのも、今日は良いだろう。花金だ。薄給や労働時間について文句たらたらも言いだろう。金曜の夜のサラリーマンは無敵だ。
私は彼等をみて、心底思った。会社員ってうらやましい。
フリーランスは孤独だ。人間は社会的な生き物らしいが、私のように家でシコシコと仕事をこなしている自営業者は、社会とは隔絶された存在になりがちだ。たまには誰かと飲みにでかけないとならない。しかし街に繰り出すのはおっくうだ。結果、孤立する。精神衛生上、とてもよくない。
勤め人は、ほとんどの場合、楽しくない。ただし、花金の夜は別だ。金曜日だけ働く週1勤務の仕事を探さなくてはならないかもしれない。
まとめ
フリーランスにはメリットもデメリットもある。ライフイベントの発生や収入状況の変化、心情の変化などによって、働き方を柔軟に変える必要があるかもしれない。
私のように、近い将来に家族ができる人間は特に、中途の方針転換が求められている。ITであれ、デザイナーであれ、コンサルであれ、編集・ライターであれ、「再就職」という選択肢も入れる必要があろう。
私もそろそろ再就職を考えている。転職サイトやエージェントを使うことになるだろう。登録が少々面倒だが、現在の自分の転職市場での価値を知るためにも、早めのアクションが必要だ。