転職したい

会社を辞めたいけれど理由が見つからないときに私たちができることとは?

大型連休が終わったあとや年末年始の休み明けは、気分が落ち込み会社に行きたくないと考える勤め人は多いだろう。そんなときはいっそのこと会社を退職してしまえば良い。しかし問題は退職理由だ。上司に告げるのは建前で良い。では、自分を納得させる退職理由はどうする?ジョブホッパー検定4段の私が、特段に転職理由がないけれど、会社を辞めたい人に向けて、 転職理由の案出方法を伝授する。

会社を辞めたくなるとき

サラリーマンの仕事は会社に行くことである。実業務自体には何の意味もない。

こなす仕事はおおむね意味のないブルシットジョブばかりだ。ミーティングは無内容で、プレゼンは空疎で、資料は誰にも読まれない屑データばかりだ。

会社に行くこと自体が重要なのである。朝の憂鬱を振り払って会社にたどり着いた時点でその日の仕事の半分は終わっている。日がな一日、絶望や虚無と戦い退勤まで生き残れば、それでいい。生産性やアウトプットやステップアップやバストアップなど二の次だ。

しかしこれは逆に言えば、毎日が戦いとも言える。

毎朝家を出るまでの葛藤は本来並の人間が絶えられるレベルのものではない。凡庸な人間ならば、家を出ることさえできない。電車に乗ったりバスに乗ったりするのも、超人レベルにリミッターが外れているサラリーマンだからできる所業だ。

会社に着けば、どんよりとした雰囲気が充満するオフィス内には、他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者他者が自分同様に疲れ切った目をして、ため息をついている。

それに耐え忍んで7,8時間を空費する。強くなくては生きてはいけない。

会社を辞めたくなるときとは、すべてだ。会社が存在する限り、勤め人は退職について考えざるを得ない。拳銃をこめかみに押しつけられているようなものだ、洋上を漂う中で海水を飲み込み続けているようなものだ。ふと正気になったら、誰だって泣き叫びたくなる。

それでも大丈夫。会社員には伝家の宝刀「退職届」があるから。

転職理由が見つからないなら、作り出せばいい

会社員は不思議なもので、いったん自分の中で「会社を辞める」と決めたら、後戻りはできない。

走り出したら止まらない。止まりだしたら走らない。慣性の法則だ。周りに相談しているときにはすでに自分の中では腹が決まっている。アドバイスを聞き入れるきなどさらさらない。

しかし、ある時点で自問自答するのも確かだ。

「自分はなぜ会社を辞めるのだろう」

一般的な退職理由には、「待遇が悪い」「キャリアアップがのぞめない」「長時間労働で体を壊した」「新しいことにチャレンジしたい」「同僚と不仲だ」「会社のビジョンが自分に合わない」などが挙げられるだろう。

しかし「辞めたいモード」に入っている人の中には、上で挙げたような退職理由が自分に当てはまらない場合もあるだろう。待遇はまあまあだし、同僚や上司は素敵な人ばかり、自分の成長すら感じられる……。端から見たら、ならば辞めなければ良いのにと思うかもしれない。

しかし人間は非合理な行動をする生き物である。俗に言う、理由なき退職である。

理由がない場合、理由を作り出すのがいいだろう。

これは上司に告げる「建前上の退職理由」ではない。自分を納得させる退職理由である。参考までに私がかつて10社の企業を辞めたときに、自分自身を納得させた退職理由を列記する。

<自分を納得させる退職理由>

  • いまは働きたくない
  • トイレがボットン便所でやだ
  • 喫煙スペースから漏れ出る紫煙が臭い
  • 朝早い出勤がやだ
  • 昼食を食べる店が会社周辺に少なすぎる
  • 社長の身内がうっとうしい
  • 社長と趣味が合わない
  • 女性ばかりの会社に自分1人だけ男はきつい
  • 暇すぎる
  • フリーランスになりたい

これを見てあるいは、「些細なこと」と思われる人もいるかもしれない。しかし、会社を辞めたい理由などすべて些細なことだ。なぜなら、勤め人は入社したときにはすでに、退職へのカウントダウンが始まっているのだから。

理由はすべて小さなことで、ことによると理由など存在しない。辞めたいと思ったら何が何でも辞めてしまうのが、破滅主義的サラリーマンのスタイルだ。

退職理由は建前で塗り固める

いったん「辞めたいモード」に入ったら、もう会社を退職するしか道は残されていない。モチベーションを取り戻すことは不可能だ。上で述べたように、そうなったら自分を納得させるための退職理由を案出し、その後上司に退職を告げる。

難しいのは公的な退職理由は、それなりに常識的なものを採用しなければならないということだ。「なんとなくだるいから辞める」というのは通用しない。

上司に退職を申し出る際には下記のような「建前」を告げるのが良いだろう。

<建前上の退職理由>

  • キャリアアップのために転職します
  • 新しい仕事にチャレンジしたいので転職します
  • 家族が増えて、今のままでは食べていけないので転職します
  • 家業を継ぐので退職します
  • やりたいことが見つかったので退職します
  • 結婚するので退職します
  • 妊娠したので退職します
  • 体を壊したのでしばらく静養するために退職します
  • 留学するので退職します

以上のように、建前上の退職理由というのは何とでもなる。嘘でも構わない。お互いが傷つかぬように、うまい言い訳を考え出すのがいいだろう。

まとめ

「なんとなく会社を辞めたい」「理由なき退職だ!」「時節柄、退職したい」など、勤め人について回るのが、「会社辞めたい病」である。これは仕方のないことだ。会社員として働き続けることはそれだけ大変なことなのだ。

そんなときに、重要になるのが退職理由の創作である。理由がないと自分を納得させられない。上司に対する退職理由は建前上のものを適当に見繕えばいいが、自分を納得させるものは自分自身の内部から拾い出さなくてはならない。

難しいかもしれないが、これならば自分自身を納得させられるぞという退職理由はきっとあるはずだ。自分と向き合いしっかりと会社を辞めることが、真人間になるためのファーストステップになる。