フリーランスになりたい

フリーランスになるには何が必要か?30〜40代中堅社員の場合

近年、20歳そこそこの若者を中心にフリーランスになりたいと考える人が増えている。一方、30歳前後から40歳前後の中堅サラリーマンの中にも、虎視眈々と独立を画策している人たちもいるだろう。この記事では、36歳で独立した私が、フリーランスになるために必要なことを伝える。

フリーランスになったらいくら稼げるのか

世の中には極めて羽振りのよいフリーランスが多数存在するらしい。多くがSNS上で自己の年収や月収、日当などを声高に吹聴している。数十万、数百万の金銭を湯水のように使い、他者からの羨望を集める。まったくうらやましい限りだ。

しかし大多数のフリーランスはもう少し慎ましく暮らしているだろう。私は独立してから4年目の現在まで、おおむね年収は500万円前後だ。それで満足している。もちろん、楽して多額の銭を稼ぎたいと思うこともある。日に10回は宝くじが当たればなあと夢想している。しかしそれは可能性が低い。清貧でいこうではないか。

私の肌感覚では、年収350万円ぐらいあれば、普通に生きていける。それでいいではないか。

では、フリーランスになれば350万円稼げるのかといわれると、私にはわからない。職種によるし、技量による。人柄や態度、勤勉さも重要だろう。コネクションも大切だし出会いやタイミングももちろんポイントだ。

フリーランスでほどほどに稼ぐために必要なこと

私は独立時点で、編集者としての経験が8年ほどあった。しかしスキルは低かったと思う。いつも転職していたので、8年間フルでしっかりと研鑽を積んだというのとはほど遠かった。8年というのは通算だ。いろいろ職を変えて、「編集」という仕事をやった期間をつぎはぎして、かけらを集めて、やっと8年になるといったまがい物だ。

それでも年収500万円ぐらいにはなる。

思うに、ある程度の年齢で、ある程度の経験があれば、クライアントはある程度信頼してくれる。なぜなら、世の中には自分が思っている以上に、適当なフリーランスが跋扈している。控えめに言って、フリーランスは有象無象の人材の巣窟だと思う。仕事のクオリティが低いというのはもちろん、そもそも期日やルールを守らない。しっかりと連絡がとれないという人が多い。

凡庸な社会人でも独立して400万円ぐらいはいけるはずだ

つまり、普通に仕事をしていれば評価されるのがフリーランスなのだ。天才編集者や天才プログラマ、天才デザイナーなどはお呼びではない。会社員時代のように、真面目にこつこつ働き、標準かちょっと上ぐらいのクオリティのものを提出すれば、結果につながる。

その標準的な対価が350万円〜500万円なのだろう。

ちなみに、IT系の人だとそれよりも200万円〜300万円ぐらい上積みされるように思う。高校時代の同級生でフリーエンジニアになったと人のうち、一人が年収600万円、もう一人が900万円なので、編集者やデザイナーよりも稼げるのは確かだろう。

フリーランスでもっと稼ぐためには

私が感じるのは、無理をすれば稼げるということだ。もちろん、時間を売るなという意見はあるだろう。しかし凡庸な人間にとって、時間を売るしか手がないときもある。単価を上げることができない職種もある。そのときにどの程度、身を削るかだ。

私は削らなかった。もっと身を粉にして働けばプラス100万円〜150万円ぐらいはいけるだろう。しかし、だるくてダメだ。めんどくさくてダメだ。働きたくないのだ。働きたい人は頑張ってください。

フリーランスで楽に稼ぐためには「常駐」すれば良い

IT系であれ、編集者であれ、ある程度安定的に月収を獲得する方法がある。それは「常駐」である。つまり、間に紹介会社(エージェント)をはさみ仕事を斡旋してもらうスタイルである。この場合、週に何回か企業に出勤したり、リモートで働いたりすることになる。

時間を拘束され、ある程度企業のルールに束縛されることになる。しかし仕事=報酬は安定する。

常駐案件を掴むことができればだれでもフリーランスになれるのだ。

私の肌感覚だが、編集者の場合の月収の平均は40万円ぐらい、私の友人(IT系)は月収50万円だ。ちなみに友人はお世辞にもITスキルが高いとはいえない。それでも50万円の報酬を得られる。

また、フリーエンジニア歴15年ぐらいの別の友人は、月収80万円ぐらいらしい。20代の半ばぐらいには独立しており、当時からスキルが高かった。いわゆる優秀なエンジニアなのだろう。

常駐にはデメリットもある

常駐案件は、会社に出勤し、通常のビジネスタイム通りはたらく。多くの場合、常駐先のルールにそって労働する。いろいろミーティングにも出席する。話したくもない同僚とも話さなくてはならない。

私もいままで2度ほど受注した。しかし、合わなかった。自分が思っている以上に、他者との付き合いに拒否反応が出た。

常駐とはつまり会社員なのである。雇用形態が違うだけだ。全社会議や社内行事などには参加する必要がないが、ゆるくつながるというレベル以上のコミットメントは発生する。

リモートでない限り、出勤もするし、もし週末に散髪しようものなら、週明けに「あ、髪切りました?」「ええ、まあ」「似合ってますね」「あ、ありがとうございます」などという会話も滞りなくこなさなくてはならない。

常駐には安定的な報酬を得るというメリットがあるが、こういったデメリットもあるのでしっかりと理解しておく必要がある。

まとめ:フリーランスになるのは簡単だ

中堅社員であれば、フリーランスになれば良いではないか。仕事なら、ある。最悪、「常駐」という劇薬を飲めばいいのだ。

30〜40代ならば、スキルはもとより、社会人としての処世術やサラリーマン時代に鍛えた忍耐力なども培っているはずだ。

会社に退職願を出し、開業届を出して、ハロワに再就職手当の申請をすれば、数十万円の「祝い金(=再就職手当=失業手当の前払い)」を得て、晴れてフリーランサーだ。余裕だ。

しかし、フリーランスは楽でない。企業を退職する際には相応の熟考が必要である。サラリーマンは誰にでもなれるというが、それは嘘である。サラリーマンは才能である。仮に今の会社が気に入らないだけなのであれば、転職のほうが傷が浅くて済むかもしれない。無論、傷を負わずに、ステップアップすることも可能だ。

長年、会社員として勤め上げてきたのであれば、フリーランスになどすぐになれるのだから、会社員としての可能性を探った方が賢明かもしれない。